地頭力のココロ 本質を見る思考力を育てる物語



若干この手の本に飽きつつあるが、家に積んであったので読んでみた。ザカティーの細谷さんの本。


地頭力のココロ 本質を見る思考力を育てる物語

地頭力のココロ 本質を見る思考力を育てる物語




読んで思ったのだが、今までの「地頭」本と違って、フェルミ推定色が薄く、というか、全然無くなっている。


本書は、システムインテグレータ勤務の若い営業担当者が、Why→What→Howで構成される「問題解決ピラミッド」を活用し、日々の業務で発生する問題を一歩一歩解決していく物語である。「大阪には理髪店が何件あるか?」といったフェルミ推定問題は全く登場せず、「結論から」「全体から」「単純に」という、細谷さんの提唱する問題解決メソッドをいかに日常の仕事に活かしていくか、という点に注力されている印象。


このあたり、「地頭力」というキーワードが、コンサルティングファーム等の入社面接で使われる「ケース問題」との関連で語られることが多く、著書の意図するところとズレが生じてきていたため、そのあたりを軌道修正したい、という著者の思惑があったのではなかろうか。「著書の意図するところとズレ」とは、つまり「結論から」「全体から」「単純に」は、本来日常業務、そして私生活においても、問題を解決するための便利な道具であるはずなのに、「地頭力」=「トリッキーなケース問題の解き方」という、間違った印象が世間に広まることを著者が危惧していたのではないか、ということ。「地頭力」は、コンサルファームを目指す一部の人のためだけにあるのではなく、おおよそビジネスに携わる人にあまねく広く理解してもらい、活用してほしいという著者の想いが込められているのではないだろうか。


そんな事を思いながら、パラパラと読んでみた。「伝える」と「伝わる」の違いとか、期待値管理(Expectation Management)の話とか、若い社会人にはぜひ本書を読んで、実際の業務で活用してほしいノウハウが詰まっていると思います。