外資の3倍速仕事術


著者は日本IBMからボストン・コンサルティンググループに転職して、結構自信があったものの最初は仕事についていけず、かなり苦労したらしい。日経SYSTEMの記事の連載もやられていて、ある号で転職して苦労されたという話を読み、興味を持ったので本書を購入してみた。


外資の3倍速仕事術―「できる自分」へのムダ消しレッスン!

外資の3倍速仕事術―「できる自分」へのムダ消しレッスン!




本書のエッセンスは、

百ミツの法則(考えなければならないことが百もある複雑な課題や仕事でも本質的に重要なのは3つだけ)



という法則に集約される。書中、「3つ」「3倍」「3軸」「So What×3」「百ミツ」と、「3」というキーワードがこれでもかというぐらい登場し、まるでサブリミナル効果のようでもあるが、この「本質的で大事なことは、3つに集約できる」というのは体験的に同意。お客さんへの報告資料や、ミーティング資料でも、論点が7つも8つもあると焦点がぼけて、話がまったくまとまらないことが多い。決めないといけないことが7つも8つもあるという状況は確かにあり得るけど、極力グルーピングするなどして、ポイントを3点ぐらいにまとめると、お客さんも全体像を理解しやすいし、なにより自分が話しやすい。


問題は「いかにして3つに絞り込むか」という点だけど、そのために著書が奨めているアプローチが以下の3つ。(また3つ)

全体を構造化して理解する「タテ・ヨコ思考」
理解を深める「So What×3」
ひとひねり加えて付加価値を増す「3軸理論」



重要なポイントを識別するためには、まずそもそも全体として何と何があるか知る必要がある。場当たり的にならず考えを整理するためには、図に描いてみるのが一番いい。「タテ・ヨコ思考」が効くのはそういう理由だろう。これは、電車での移動中に中吊で目について事柄について、「縦軸は〜、横軸は〜、特徴を3つに要約すると〜」という感じで一人で訓練できそう。
「So What×3」はトヨタのなぜ5回と一緒だと思うけど、これも訓練するしかない気がする。最初は紙に書きながら、考えを掘り下げるのが有効だと思った。
「3軸理論」。これは、うーん正直よくわからなかった。付加価値を出せ、ということだと思う。単に事実を識別するだけでは価値はなくて、「結局本当に重要な点は何か」「これからどうすべきか」を含めて答えを出せて初めて付加価値が生まれる。その付加価値の部分が3軸の3つ目の軸らしいのだが、これがよくわからない。歴史からある一定のパターンを抽出し、現在の事象にあてはめて物事を整理することであったり、「自分だったら」「お客さんだったら」「競争相手だったら」というように視点を変えて物事を分析することであったり、うまい「たとえ」(アナロジー)で物事を表すことで付加価値が生まれるらしい。うーん、わかったような、わからないような。


本書の一番最後の部分で、以下の3倍速時間管理術も紹介されている。(またまた3つ)

タイムスロットマネジメント
コンカレントワーキング
ノーオーバータイム



今となっては、様々なビジネス書で紹介されている仕事術の一種だと思うけど、読んだその日からすぐ試せる、即効性のある術だと思う。「コンカレントワーキング」は「仕事」を「勉強」に置き換えて、重点的に勉強すべきテーマを3つに絞り込んで、並行して実行すると考えることもできるな。私は飽きっぽいので、これは有効かも。




「重要な3つのポイントに集中する」という考えは、すごく気に入った。「仕事だけじゃなくて、プライベートでも活用できるそう。