日本史七つの謎


日本史七つの謎 (講談社文庫)

日本史七つの謎 (講談社文庫)


おもしろかったのは、歴史の専門家がたびたび「それについては私もわからんのですが」というところ。
歴史というと「既に決まっているもの」というイメージで、学校で教わった「歴史とはこういうものだ」と国が規定したものをただ暗記するという感じだったんだけど、学者なんかはわかってる断片的な事実(と思われるもの)を寄せ集めて、あれこれ推論したり、妄想をめぐらせているもんなんだなと感じた。


小学生ぐらいからも、そんな感じで歴史教育した方がいいのではないだろうか。
つまり、資料等により事実である可能性が高い点についてはfactとして提示して、あとは複数の専門家の異なる視点の主張を教える。factと視点の異なる主張をもとに、「俺はこの意見に賛成」とか、「これはおかしい」とか考える機会を与える方が、子供の将来に有益なような気がする。考える訓練になるから。小学生はちょっと難しいか。でも、中学生ぐらいからはやるといい気がするけど。自分が中学生の時できたかというと疑問だが。歴史のテストで「〜の理由を述べなさい」みたいな文章題が出るとうぜーと思ってたから。


メモとして、「薩長はなぜ徳川幕府を倒せたか」の議論で理由として挙げられていた一部が、

  • 天保の改革の頃から財政再建に積極的で、且つ成功させていた。
  • 地理的に、外圧を感じやすい位置にあった。
  • 若い藩士の意見が通りやすかった。


であった。「教育に熱心だった」とか、他の要因もないのかしらと思い、また同じような歴史の本を読む際の楽しみができた。


「高度成長はなぜ可能だったか」については、

  • 日本人が貧乏だったから。
  • 戦後だけがんばったんじゃなくて、実は明治以来の蓄積があった。
  • 戦争で磨いた技術力を、重工業やエレクトロニクスに集中させた。
  • 転換能力が凄かった。


などなど色々挙げられていたが、この本を読むだけではなんとも。でも、色々と興味のある事項が増えてよかったかも。